神戸新聞松方ホールにおいて、団創立60周年記念演奏会パート1 第45回定期演奏会が300名のお客さまを迎えて開催されました。メインステージは、神戸市役所センター合唱団が 2009年に木下牧子先生に委嘱初演した、混声合唱とピアノのための「いのちの木を植える」。全曲演奏は3回目となりますが、今の情勢に鑑み、環境を守り、平和への想いを共有したいとの思いで取り組んだ演奏会でした。
今回の演奏会の第1ステージは神戸市役所センター合唱団による♪すこしずつで始まりました。この曲は、うたごえ運動75周年記念として出版された6人音楽家によるオムニバス作品集「スタートライン」からの1曲で、作曲は信長貴富氏。曲はポップス調ですが、門倉氏の詩の自然の美しさが歌われる中でさり気なく、しかし強く平和への願いが織り込まれている曲です。次の♪黒い瞳はロシヤ民謡。そして、♪キエフの鳥の歌。日本語で歌われるバージョンについては作詞者は北海道合唱団の指導者・作曲家の故・木内宏治氏。?984年に北海道合唱団がウクライナの首都キエフを訪れたとき、歓迎会で演奏された原曲を日本に持ち帰ったものだといわれていますが、今回ウクライナに平和をと選曲したものです。この3曲を指揮山本収先生、 ピアノ井上由子さんで歌い、続いて女声アンサンブルKIPLYUの登場となります。9月に2ndコンサートを成功させたKIPLYUの曲は♪女声合唱のためのヒットメドレー「SORA」よりの4曲。よく歌い込まれたアンサンブルが、会場に響きます。
そし、再び団の演奏。この間、合唱発表会でも歌ってきた川崎洋の詩による五つの混声合唱曲「やさしい魚」の第4曲♪鳥が そして、♪燃えあがろうは20??年3月11日の東日本大震災で被災した福島県在住の詩人・和合亮一が「ツイッター」で「詩の礫」として発信を続けて大きな話題になった詩に、旧友の作曲家・新実徳英が、一気に連作した「つぶてソング」全12曲の中の一曲で~あけない夜はないと希望を歌いました。
団の演奏のあとは、市民団員を交えての♪たいせつなことと♪群青。前者は作曲家・安広真理の書き下ろした、被爆75周年6人のうたごえ作曲家によるオムニバス楽譜集「風の音符たち」からの一曲。「自然を破壊しているその人間だけが知恵を使い、モノを作り出す素晴らしい力を持っています。今こそ人間があらゆる知恵を結集して、全てのいのち、この地球のために動いていくべきではないか。…そんな想いを込めて作られた曲です。♪群青は東日本大震災で、津波で街が甚大な被害を受けた福島県南相馬市立小高中学校平成24年度卒業生と、音楽教諭の小田美樹教諭によって作られた曲で、この2曲を指揮増田健一先生、ピアノ井上由子さんで演奏しました。
1部の最後は、女声コーラスゆずり葉の演奏。女声合唱組曲「悲しみの意味」より「木のように」と「椿」。詩人・星野富弘の優しく、かつ力強さをもった言葉のひとつひとつに透明感あふれる旋律と優しいハーモニーを重ね合わせて、指揮町田百々子先生、ピアノ阪田みゆきさんで歌いました。
第二ステージは、太鼓衆団輪田鼓に♪はないちもんめ。この曲は、この5月の西日本郷土講習会で加藤木朗氏から学んだ曲で聞き覚えのある♪勝ってうれしいはないちもんめ~の歌が始まりました。2曲目は田中嘉治団長の作調による「甦る蒼き狼」を勇壮な太鼓で披露しました。
第3ステージ最初は、本日ゲストの木下牧子先が前出の「スタートライン」に書き下ろして下さった作品♪Peace be with you。木下先生曰く、シンプルだがメリハリのある、心に響く曲を目指しましたということでしたが、とってもお洒落な曲です。
この後、進行田中嘉治団長による木下先生の記念トーク。「いのちの木を植える」が出来上がってきた過程やこの曲に込めた想いを語っていただき、曲への期待も高まりました。
そして、最後の舞台は、とんだばやし混声合唱団の有志の方、須磨ニュータウン少年少女合唱団も加わって、指揮山本先生、ピアノ井上由子さんでの約60名の「いのちの木を植える」の合唱。アンケートには「とても素晴らしい。子どもから大人まで幅広く、重み増し、色合いも深く色とりどりの花がいっぱい咲いたよう」「大変芸術的で本当にオーケストラのようで素晴らしい演奏でした」等の声をいただきました。谷川俊太郎の詩の世界を美しい曲に乗せて、堪能頂いたことと思います。
この演奏会に出演していただいた先生方、一緒に歌って下さった市民団員やゆずり葉・とんだばやし混声合唱団・須磨ニュータウン少年少女合唱団等の出演者の皆様、そして聞きに来て下さった多くのお客さまに改めて感謝致します。
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