2024年4月28日32回目を迎える、みどりのコンサート。
その演奏会チラシにあった「伊藤若冲『池辺郡虫図』より生きてる」を図書館を巡って手にすることができました。
「混声合唱とピアノのために 生きてる」の練習を重ね、下行旋回・ほほえみカデンツ・タンゴ・変拍子ダンス・ブルース・・・と付された曲の難解さに焦りと落ち込みを感じながらの練習の日々にあって、この本に直に接することができたことは暗闇に一筋の光を見る喜びを感じる思いでした。それは演奏会チラシ案内にある「今回は、伊藤若冲の“生”を見つめた一幅の絵を選び、「ブッタとシッタカブッタ」の作者である小泉?宏氏が絵に寄せて書き下ろした1冊「伊藤若冲『池辺郡虫図』より生きてる」の詩をもとに、新実徳英氏が言葉の真実に迫る音楽を作曲してくださった「混声合唱とピアノのために 生きてる」を初演する運びとなりました。」を読んで感じていた謎めいたもの(絵→詩→音楽となる経緯)も払拭されるものでした。そして、伊藤若冲→小泉?宏→新実徳英→みどりのコンサート「生きてる」初演の大きさを改めて痛感することとなったのでした。
「池辺郡虫図」の絵画の断片とそれに見開きで「生きてる」の詩の言葉は問いかける。生きてる・食べてる・飲んでる・笑ってる・泣いてる・しゃべってる・・・と、どんな小さな生き物であっても命の大切さがあふれる。また、虫が虫を食べている→蛙が虫を→蛇が蛙を→鳶が蛇を→虫が死んだ鳶を食べている、と生命の営みに互いに欠かせない自然の摂理,輪廻。そして「今この瞬間は生きている」「今この瞬間を生きている」。
さらに「境目」はあるか?との問いかけ。あっちとこっち・池と岸・川と海・昨日と今日・今日と明日の境目はなく、人によって上と下・右と左・前と後・内と外・善と悪・・・つくられる。富がつくられ・貧しさつくられ・・・そして「重ねて人の心つくられる」。前はなく・後はなく・・・あるのは今のみ「今この瞬間を気づく 今この瞬間に生きる」「人は今に生きている 人は今を生きてる」オォ~なんと意味深いことか。
すべての生き物の命の尊さ、みんな輝いている、一生懸命生きている。そして人もそんな虫や小動物と同じよう(なはず)に「生きてる」。
こんなにすごい絵と詩。その「言葉の真実に迫る音楽」が簡単であるはずはないことが(遅まきながら)わかったのでした。この本に接したからと言って曲の出来が数段にアップすることはないにしても少なくとも曲の理解が深まったことは間違いありません。
演奏会では「今この瞬間を気づき 今この瞬間に生きて」みたいとの思いが湧いてきたのでした。
「みどりのコンサート32」演奏会CD・DVDの申込みもよろしく。(事業普及部)
Comments