有名なので皆さんも良くご存知と思いますが、ナチスのホロコーストを生き抜いた、ポーランドのユダヤ系ピアニストの半生を描いた実話です。
映画中、ピアニストが奏でる美しいショパンが印象的です。冒頭の場面で、ドイツ軍の爆撃が続く中、放送局でノクターン第20番を弾き続けるシーン、ついにナチスの将校に見つかってピアノを弾く様命じられ、追いつめられた状況の中、バラード第1番を弾くシーン等が有名です。この将校はピアニストを殺さず、パンを与えました。
私が印象に残ったのは、街で女性がやっと手に入れた食料を男性が力づくで奪おうとして地面に落ちてしまい、散らばった食料を這いつくばって食べる男性を女性が泣きながら叩くシーンです。
私はこの男性に激しい憤りと情けなさを感じましたが、このような感情を持つ事ができるのは、私が今、平和で食べるに困らない生活をしているからで、もしあの時代あの場所に生きていたなら、自分もあの男性のようになっていたかもしれません。戦争の恐ろしさはミサイルだけではないと思いました。
また、ナチスがユダヤ人を連行する際、車椅子の男性をベランダから投げ落とすシーン、「どこに行くのですか」と尋ねた女性の額を無言でいきなり撃ち抜くシーンなどは、あまりにも残酷で衝撃的でした。
この先どんな時代がやってきても、何の罪もない人の命を奪わなければならない世の中なら、せめて人にではなく、自分に銃口を向ける勇気を持つ人間でありたいとこの映画を見て強く思いました。
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